
菊紋が施されるなど、皇室との関係を示した日本刀が並ぶ=関市南春日町の関鍛冶伝承館で
5月の天皇陛下の代替わりに合わせ、関市南春日町の関鍛冶伝承館で、関鍛冶と皇室とのつながりをたどる企画展「朝廷と菊紋と関の刀工」が開かれている。5月27日まで。
担当する同館学芸員の江西奈央美さんによると、後鳥羽上皇が鎌倉幕府に対抗するために刀匠を抱えて刀作りを奨励したことをきっかけに、皇室との関係を示した刀匠や刀の権威づけが盛んになった。
室町時代の刀匠兼定は関鍛冶で初めて国守に任じられ、官職名の「和泉守」を名乗った。
江戸時代には、官職名を許可なく名乗る刀匠を取り締まるため、安土桃山-江戸初期の関の刀匠「大兼道」を祖とする山城国(京都府)の一派「三品派」の刀匠らが中心になり、刀匠が官職名を名乗るための受領(ずりょう)の制度を確立した。大兼道は正親町天皇から「大」の字を賜った刀匠として知られる。
会場には室町-昭和時代の刀24点と、関連資料8点を展示。和泉守兼定の短刀、三品派の刀匠の安土桃山-江戸初期の刀、三品派のあっせんで官職名を受領した関の刀匠の作品のほか、皇室の象徴の菊紋を彫って権威づけした刀や、昭和天皇が関市へ行幸された際の記念として作られた刀が並んでいる。
江西さんは「実用性の高さで注目される関の刀鍛冶が、皇室とのつながりを重視していたという意外さを知ってもらいたい」と話している。
入館料は大人300円、高校生200円、小中学生100円。祝日以外の火曜休館。
(鈴木太郎)