
ホテルロビーに展示された「ひだ」の資料
高山市の市街地を一望する高台にある「ホテルアソシア高山リゾート」。岐阜県飛騨地方を新型特急「ひだ」号で訪ねる旅でお世話になった。
ロビーには新型車両の運行開始に合わせて、実際に使用された行き先表示板をはじめ貴重な資料が飾られていた。「懐かしいなあ」と思う読者もおいでだろう。
高山で楽しみだったのは、「リスの森」。リスとじかにふれあえる施設だ。もっともホテルから歩くと30分ほどかかる。地元のタクシー会社「はとタクシー」に、送迎をお願いして出かけた。
入園料880円を払い、1袋100円のえさを2つ求め、園内にそっと入ってみる。
いる、いる!軍手をした手にえさを乗せると、すぐに小さいのが来た。
シマリス(左)「君はどうして食べないの?おいしいよ」
エゾリス(右)「ぼくは少し、夏バテ気味なんだよ…」

「リスの森」=いずれも岐阜県高山市で
還暦の近いおじさん記者も童心に返って、そんな会話を想像しながらたわむれる。
さて、リスにお別れしたら次は飛騨市へ。高山駅からは各停で3つめ、飛騨古川駅で降りよう。歩いて5分ほどの「飛騨古川まつり会館」で、レンタサイクル(1時間300円)を借りて走り出す。
勇壮な起(おこ)し太鼓と、豪華な屋台行列の「古川祭」。雪の中で祈る人々を、ろうそくの灯が照らす「三寺まいり」。2つの有名な祭事のどちらの時期でもないけれど、2つの楽しみが私にはあった。
まず「ガラス美術館駒(こま)」。小さな施設だが、古道具店を営む駒侑記扶(ゆきお)さんが、若い頃から集めた食器や飾りなど、多彩なガラス製品を公開してくださっている。
お目当てはウランガラスの器。不思議な光沢を持つが、原材料にウランを用いるため現在ではほとんど造られなくなった貴重な品だ。美しい。しばし眺めた後、駒さんからじかにガラスの話を伺う。

山中(さんちゅう)和紙のはがきと木製コースター
もう1つの楽しみは、食。「リスの森」ともども、ある有名ホテルのマネジャーから教わったラーメンのお店だ。今回は取材の許可を得ないで伺ったので、紙面での紹介は控える。一言書き添えると、素晴らしくおいしかった。
しかしこれだけでは読者に申し訳ないので、先に書いた「まつり会館」では伝統ある山中(さんちゅう)和紙のはがきを、さらに会館近くにある「三寺めぐり朝市」では木製コースターをおみやげに買った。
さて、再び特急「ひだ」に乗って、下呂市まで行こう。ここにも楽しみなお店が2つあるのだ。 (三品信)
▼ガイド 「リスの森」は月曜定休(祝日の場合は翌日)。12月1日から3月14日まで休園。(電)0577(33)9232。「はとタクシー」は(電)0577(32)0246。「飛騨古川まつり会館」は年末年始休み。館内の展示などの観覧は有料。(電)0577(73)3511。「ガラス美術館駒」は不定休で、事前に連絡を。大人300円。(電)0577(73)6550
(中日新聞夕刊 2022年7月28日掲載)