
芭蕉涅槃図の軸や解説パネルが並ぶ会場=大垣市船町の奥の細道むすびの地記念館で
釈迦(しゃか)の代わりに松尾芭蕉が描かれた涅槃図(ねはんず)の作品展が、大垣市船町の奥の細道むすびの地記念館で開かれている。大垣市教委の山崎和真学芸員は「基本の構図が同じでもそれぞれ少しずつ違うので楽しめるはず」と話す。11月19日まで。
通常の涅槃図は沙羅双樹の木の下で臨終する釈迦が描かれているが、芭蕉涅槃図では芭蕉に代わっているのが特徴。悲しむ門弟に囲まれ、トレードマークの帽子姿で横たわる芭蕉の周りに、旅の道具や植物のバショウのほか、俳句にまつわる動物や昆虫が描き込まれている。
涅槃図が描かれるようになったのが芭蕉の100回忌前後だとされることから、山崎学芸員は「50回忌のころは敬慕や親愛を込めて『祖翁』などと呼ばれていたのが、100回忌のころには神号を付与されたりして神格化されていった」と指摘する。
展示する8点の中には大垣ゆかりの俳人が登場する作品もあり、「地元の人にも見てもらいたい」と山崎学芸員。今月30日から作品1点を入れ替える。「芭蕉の涅槃図がこれだけ集まるのは大垣で初めてでは」と、来場を呼び掛けている。(問)奥の細道むすびの地記念館=0584(84)8430
(吉本章紀)