
(上)人形のモデルとなったサルーキ (下)カイトさんがサルーキをモデルに制作した人形(左)
高山市で活動する美術家のカイトサイコさん(43)がつくるペットをモデルにした人形が、フランスの雑誌で紹介された。制作のきっかけは、愛するペットを亡くした友人へのプレゼント。「家族のような存在を失った悲しみを、癒やすことができれば」と話している。
羊毛を時間をかけて針で刺し、丁寧に形作った犬や猫などの人形たち。ドイツのガラス職人が作ったつぶらな瞳が輝き、フランスの布を使ったワンピースや手編みのベストを着て、おしゃれをしている。
カイトさんの作品は同市有楽町のショップ「ドルブ」で展示、販売している。
10数年前、フランスに住む友人の杉山清美さん(58)が愛犬を亡くし、落ち込んでいるのを見て、犬の彫刻を贈ったのが始まり。杉山さんはカイトさんの彫刻を眺めたり、なでたりして気持ちを落ち着かせていたという。
プレゼントを喜んだ杉山さんは、ペットをモデルにした作品をつくる芸術家たちを集め2015年に、ウェブサイト「ペットアート」を開設。絵や陶芸、アクセサリーといった作品を手掛ける芸術家が、飼い主の希望に合わせて作品をつくっている。

自身の人形が掲載されたフランスの雑誌を紹介するカイトさん=高山市有楽町で
カイトさんの人形はどれも材料にこだわった一点物。手芸や生活雑貨などを紹介するフランスの雑誌「マリー・クレール・イデ」に、注目の商品として掲載された。昨夏に高山を訪れた同誌の編集者が、狩猟犬のサルーキをモデルにした人形に一目ぼれし、取材を受けたという。サイトを通じて1体1500ユーロ前後(約20万円)で注文を受け付けている。
「人形はペットがおしゃれをして会いに来てくれたイメージ。身近にアートがあることで、生活が豊かになったり、楽しくなったりすることを知ってもらえれば」とカイトさんは話す。
(戎野文菜)